ドライアイ
目は常に薄い涙の膜で覆われて保護されています。
ドライアイとは、目を保護している涙液の安定性が低下することで目の表面の健常さが損なわれ、さまざまな症状が出現する疾患です。
ある研究によると、日本人の約3人にひとりがドライアイであるとも言われています。
特に長時間のパソコン作業などにより目を酷使する人などに、年々ドライアイが増加しています。
ドライアイの症状
ドライアイは左右の目で多少の差があるものの、通常は両目に症状が出ます。
主な症状としては以下が挙げられます。
- 目が乾く
- 目がゴロゴロする
- 目が痛い
- 目が疲れやすい
- 目が充血する
- 涙が出てくる
- かすんで見える
- 視力が低下した
「目が乾く」という典型的な症状のほかにも、ゴロゴロする、痛い、疲れやすいなど、患者さんご自身では、ドライアイかどうか分からないような症状も多くみられることに留意する必要があります。
また、見え方に関する症状として、かすんで見える、視力が落ちたようだ、など通常の考えではドライアイと思えないような症状が前面に出るタイプのドライアイもあります。
近年、ドライアイにも様々なタイプのものが存在することが知られており、盛んに研究が進められています。
タイプにより治療も異なってくることも判明してきました。
当院は、日本におけるドライアイ研究・治療の最先端グループであるドライアイ研究会の会員クリニックであり、いち早くこうした研究成果を取り入れて診断・治療を進めています。
ドライアイの検査
問診にて上記の症状が確認されれば、次に眼科検査へと進みます。
視力や眼圧を測定したのち、細隙灯顕微鏡にて角膜や結膜の状態を観察します。
この際、角膜や結膜に乾燥によってできるキズがないかどうかを見ます。
さらに、まばたきをした後に目を開いたままにして涙の安定性を見ます。
これらにより、ドライアイの診断、重症度の診断を行います。
ドライアイの治療
点眼薬による治療
ドライアイのタイプによって選択される点眼薬が異なります。
現在の日本で用いることのできるドライアイ点眼薬は大きく分けて5種類あります。
中等度以上の重症度のドライアイに関しては、1剤だけでは十分な効果が出ないこともあります。
5種類の点眼薬のうち、2剤もしくは3剤以上の点眼薬を組み合わせて行う治療のパターン数は膨大であり、
眼科専門医の力量が問われるところです。
涙を構成する「油層」「水層」「ムチン層」、この3層のバランスが良くなるように効果のある点眼薬が処方されます。
涙点プラグによる治療
点眼液を複数組み合わせても改善がみられない場合に涙点プラグによる治療を行います。
涙の出てくる涙点という場所に、涙点プラグという器具を装着する治療です。
プラグを装着することで涙の排出を抑え、目の表面に涙の量を増やします。
現在はドライアイ点眼薬が非常に進歩しているため、涙点プラグが適応になる患者さんはごく少数となっています。
キープティアによる治療
キープティアはコラーゲンを液体の状態で涙点に注入し、体温で固める治療方法です。
涙点プラグと同じ役割を果たしつつ、固形ではないため違和感なく過ごせます。
2カ月ほどで鼻腔へと排出され、効果がなくなるため繰り返しの投与が必要となります。
その他
血清点眼、眼軟膏、保湿メガネなどもあります。
また、近年になってマイボーム腺機能不全(MGD)がドライアイの増悪に関与していることが明らかになり、 当院ではすべてのドライアイ患者さんのマイボーム腺を観察のうえ、適切な指導・治療を行っています。
ドライアイの点眼をしているものの、なかなか症状が改善しない場合、一度当院にご相談下さい。